現在では見かけなくなったカッチングガラス

エッチングではないのですが、もう廃れてしまった技法でカッチング(大阪での言葉)と言うのがあります。
カッチングとは回転している砥石に上から板ガラスを当ててガラスを研削し、模様をつけるのですが現在は職人さんは居ないと聞きます。
またカッチングはガラスの大きさに制限があり700ミリ×600ミリくらいの大きさが限界だったようです。
しかし、現在ではCADでXYZデータを起こしCAMでのVカットマシンでならもっと大面積のガラスに応用は出来ると考えますが、 やはり砥石の角度や回転角の制御に大きなデータが必要になるでしょう。
尤も感性での部分は機械が持っていませんので、表現の点ではやはり人間の手には敵いません。

このカッチングは研削部分の鏡面仕上げが可能なのでエッチングとはひと味違うのですが、彫り込みの入隅が深く表現出来ない事と砥石の加減でどうしても掘った部分が船底になる為、 ベタに彫り込むのが難しい分それだけ純朴な表現だと思います。

左の写真はプロのものですが、掘った部分を完全に磨いて透明にした上で中に鏡に使う銀引き(メッキ)を施してあります。
見かけは銀のレリーフの様です。
金を引きますと金塊でできたレリーフに見えます。

右の写真は1990年当時、当店主がカッチング技法で表札を製作した例ですが、砥石の種類に制限があった事やシロウトが試みでやった事なのでずいぶん稚拙な仕上がりです。
一応、研削〜研磨の手順を踏みましたので掘った部分も透明になっています。 (裏から金のラッカースプレー塗装してます)それにしても右はホームセンターで買った砥石ではやはりムリですね。

サンドブラストエッチングでは可能な深堀りは出来ませんし、サンドブラスエッチングに較べ加工時間がべらぼうに掛かります (その道のプロならもっと早いでしょうがそれでもサンドブラスエッチングより時間が掛かります。)


鶴のカッチング写真は上の銀引きの表札と同じ人の手に依るものです。
加工屋さんで日展に出展したと云う作品を見ましたがその出来栄えには本当に感動した事を今でもよく憶えています。 元々の由来はグラスの切り子を生業にしていたと聞きますが、私も工房でそれを見たのは大阪生野区で1984年頃に一度きりです。


写真右はお客様宅にあった物を許可を得て、撮影させていただきました。

お客様のお話に依りますと、製作されたのは50年ほど昔で、1944年当時に職人さんは齢70くらいのお爺さんだったと、お客様からお伺いしました。

回転する砥石の上でガラスを支持するのは大変な作業です。
高齢な方が製作したのだなと、感心もしました。



加工には相当の時間が要したと思われます。
凹面に研削研磨されたお月様も綺麗に仕上げられ、松葉の一本一本がVカットで表現されています。
山や松の幹などの研削技法はグラビィールと同じなのでしょうけど、砥石と彫り込みの深さが違うので立体感はカッチング技法の方が勝っているかも知れません。

素板のガラスを加工した後に銀引きを掛けて鏡に仕上げますが、町工場での銀引き屋さんもずいぶん転廃業したとも聞いています。



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