エクステリア工事でフェンス設置の際、非常に早く施工できる治具を作っちゃいました。
これまでは支柱を先に立てて施工していたのですが、支柱を立てる穴にクサビを打つと微調整はできますがクサビが邪魔になり穴にセメントが入れにくくやりにくい作業でした。
また一人が支柱を手で定位置に保ちながら5分くらいで手を離せる程度に固まるジェットセメントを流し込む方法もありますが必ず二人掛かりになりますし、定位置を保つ作業者も手を離しても大丈夫な固さまでセメントがある程度固まらないと動けません。(固化作用中の状態で手を離しても支柱は倒れないが強度発現には経過時間が必要)
次にそれらの改善策として、定位置を確認しながら水分の少ない固練りのセメントで支柱の穴に投入したセメントを突き固める方法でながらく施工していました。
いずれの施工方法も支柱の垂直を確保しながら穴にセメントを投入するところでどうしても時間が拘束されがちです。
もう少し精度良く素早く施工できないかと足りない頭を巡らせると、あることに気付きました。
それで発想をかえてフェンス本体を先に空中仮設して支柱を後で本体に添わせるという方法で、もしかしたら誰かがもう既に採用しているかも知れませんが、今回は現場での時間短縮できないかとずいぶん考えての製作となりました。
フェンス本体を空中に仮固定する仮支柱治具を6本作りましたので10mまで一気に並べることができますし、それ以上の延長でも最初のアルミ支柱が早強セメントの調合でで30分以内で固化するため繰り返しローテーションで無限延長の施工も可能となります。
またもっと早く固まらせる場合はジェットセメントを流し込むか、早強セメントの混和剤を加減して調合したものを流し込みますが、ジェットセメントのみでは混練にもたつくと夏場は特にすぐ固化作用し始めるので普通セメントと併用すると固化時間が調整できます。
但しセメントの急結剤は使用できませんこの急結剤と云うのはアルカリが強すぎてアルミを腐蝕させるので使わないのです。
この治具を使えばコンクリート擁壁やブロックの上であるとか土の上(追加治具必要)であるとかを問わず施工が楽になりますし、一人でも素早く迷うことなく施工できます。
調整は三次元でそれぞれをスライドする事によって垂直・水平・高さはもちろん倒れやひねりも自在に修正できます。
Fクランプで固定の仮支柱はブロックに沿った平行移動の調整は自由だし、特に8㎜の蝶ネジは高さと見込み方向を一遍に調整できるスグレモノ。
製作に当たり、買ったモノはM8の蝶ネジとブロックに固定するF型クランプ及び木の胴縁くらいでしょうか。
その他は手持ちのステンレスネジやポリカ端材とアルミ型材で全部間に合いましたし、M5のネジも最初はTig溶接で蝶ねじを自作したのですが、施工の際フェンス本体にステンレスネジの蝶が接触してアルミ製品に擦りキズが入るのを避けるため、ステンレスの蝶部分を代わりの軟質材でつまみを作りました。
アルミ製品に接触する部位はすべて木質か樹脂になるので擦り傷の心配が少なくなって安心。
この軟質材で作った円筒形のつまみはネジを回転するのにも指に負担が掛かりません。
ネジのつまみを製作するプロセスでは材料でずいぶん試行錯誤していますが、軟質塩ビパイプとプラリペアとシリコンを複合的に5㎜のトラスネジに接着してあります。
忘れないために記録しますが、先ずステンレスのトラスネジをガスバーナーで熱して軟質塩ビパイプに差し込み、トラス頭のネジ山の際と軟質塩ビパイプの隙間にプラリペアを充填、トラス頭の頂上と軟質塩ビパイプの隙間に多用途シリコンを充填し、シリコンが固まればオーケー。
下の写真がM5ステンレスのトラスネジに樹脂系やシリコン等の複合接着で作ったつまみネジと、同じネジにステンレスのワッシャを溶接して蝶ネジとしたもので、指先での締め付け回転などの操作性は樹脂頭のつまみネジが優れています。
仮支柱の胴縁は痛んでも安価な木材なのでいつでも取替できるため安心です。
繰り返しになりますがポリカや木材で構成しているのはフェンス本体のアルミをキズ付けないためです。(写真ではスチールフェンスですが本来はアルミを想定)
仮支柱を通す横架支持具の板ナットの仕込みの部分、普通の六角ナットでは締め込むと木がめり込むかも知れませんので板ナットを埋め込みました。
M8の蝶ネジを指先で締めるだけなので六角ナットでもめり込むことはないと思うのですが、用心しての一手間です。
後日記、
治具と云う表記が適切か調べて見ました。
すると、本来はjigという英語の当て字であることと、金属の切削加工の同一位置決めの工具であるらしいのです。
それでこのページでの治具表記は本来ならば取付具とするのが適切であるらしいが、現在では混用して治具と云うのが多数派だと知りました。
今更ながら、修正するのも面倒なので多数派の解釈で押し通すことにします。
セメントの早強と急結とでは随分その性能と役割が違う様ですが、ジェットセメントは超早強でしょうし、早強混和剤はジェットほどではありませんが混和量でかなり早強ですし、急結剤は水の代わりに混ぜると練る時間がないほど早く固化します。