アルミサッシと樹脂サッシと熱伝導ETC.

アルミサッシが一般住宅に本格普及しだしたのは昭和45年以降くらいだろうか。
以来、日本の住宅では、否それに限らず建築物の窓と云えば、アルミ建材で構成されたサッシ(窓枠)がスタンダードな姿。
もちろん伝統技術の重んじる古風なこだわりを持つ意匠の外装窓としての木製建具等は新築では稀少なまで見かけなくなったが、なくなった事ではないと思う。
当店でも新築現場で尾州桧で製作された縁側の防寒引戸などへのガラス工事はここ10年くらいは1件たりとも見受けた事がない。
室内建具の雪見障子へのガラス取付は年に数件あるものの往年の比ではなく、逆に板ガラスメーカーは並ガラスをいつまで生産継続するのか不安になる事がある。

社会構造の変転は住居にも現れ、昔ながらの住宅は顧みられなくなり、極めて合理的な住居が求められるようになった。
合理的な住居には大手メーカーの建材が多用されるが、なぜかアルミサッシだけは不合理なまま採用され続けているのはこの国で不思議な事だと思う。
アルミニウムほど熱伝導の優れた材料を未だに窓に採用するのはいつまでも表面が汚損せず美観を保てるというのが最大の要因であろう。
しかし、昨今の省エネルギー潮流には全く逆行する姿である。
と云って、外装窓での樹脂サッシは心理的に抵抗があるのはなぜだろうか?それは多分、想像するに窓材表面の経年劣化や変色を避けたいからであろう。
その様な考えの中、特にアルミの熱伝導率は200W/㎡Kに較べ塩ビ樹脂なら0.17W/㎡Kと本当に桁違いの値なのにと、その差にビックリもした。
でも、個人的には外装の10年程度経過した樹脂製ドア等をメンテナンスするとやはり表面の風合いがプラスチックそのものなので性能が良くても安っぽく見えてしまう。

窓建材として、アルミの様に美観が永続し、尚かつ樹脂の様に省エネルギーにとても役立つと云った材料の開発が望まれるが、所詮アルミ屋はアルミを売らないといけないから仕方がないのであろう。
でも考えると、木材にエポキシ樹脂含浸させた材料なら凄く木材の風合いを損なわず長持ちしそうで、しかも熱伝導率の低さで良い材料が開発できると思うのであるが。
または昨今のアルミサッシ玄関などに多用されはじめた耐候性のよい木目調フィルムなども活用できるのではないか、安っぽく感じる塩ビ樹脂の外装枠に玄関に採用されている様な木目調フィルムを装着した窓建材などはないのかしらと、思う。
結局は窓にもっと木材の風合いが再認識され始める様になると、高強度が期待のエポキシ含浸の木製サッシになるか、成形加工のしやすさから樹脂に高耐侯性能がある木調フィルムの装着品が今後において普及する可能性がある。(いずれも防火地域には向かないが)
但し、木製サッシは旧態依然とした建具製造工場では製造できないだろう。それは旧来の和洋建具の製造工程から離れないといけないし、特に窓枠と障子のセット化を求められ尚かつ高気密と高水密の性能が必要な現在、やはり大手メーカーの窓建材の開発に委ねられるのだろうけれど、少しは外装窓の脱アルミでもいわゆる窓メーカーは社会責任を果たすべきだろう。

ところで一番最近のサッシ工事は前述からすればなんとも皮肉な事で木製建具から熱伝導の優れたアルミサッシへの取替だったが、お客様は木製建具の気密性の悪さから発生するすきま風を防ぐのが目的だったので、熱伝導云々の講釈どころではないレベルの事だった。
因みにサッシ取替では何年振りになるか忘れるほどアップロードしていなかったので超ひさしぶりに施工例を掲載した。
http://www.hatadagls.com/alumistusi/torikae/torikae_rei_07.html

spaciadesuyan の紹介

2012年11月開設のこのブログ主は1955年生まれのオッちゃんです。 1999年から続いている当店のWebページはhttp://www.hatadagls.com/で HTMLとPHPの併用ですべて自身で編集していますが、ホームページ運営も時代の変化について行けず そのため今じゃ陳腐化が否めません。 ブログは2004年以来の事で、当時は簡易なブログを開設したのですが、 連日多量のスパムリンクの書込みに閉口して、約半月で閉鎖以来ブログから遠ざかっていました。 取得した公的資格は、二級ガラス技能士・バルコニー施工・第二種電気工事士・PV施工技術者認定・家庭の省エネエキスパート・ガス機器設置スペシャリスト・足場の組み立て等作業主任者等、メーカー認定は真空ガラス スペーシア(日本板硝子)・窓シャッター電動化(ソムフィ)・SR工法工事士(三協立山アルミ)・ソーラー施工士(リクシルエナジー)その他等々、です。 趣味はガラスサンドブラストやレーザーマシンによる加工などがあります。 因みに創業は1982年9月で、かれこれ30年を越えました。
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