平成22年の事だったが、奈良市佐保台住宅地でのお客様宅で大型テラス窓2枚建約6㎡をスペーシアに取替えた工事の例を記録しておこうと思う。
この年は何故か奈良市や生駒市での施工がこれまでより多かったが、本現場は問題の大型テラス窓を含め他に約16㎡余りあり都合22㎡余りの延べ面積になった。
お客様によれば、大型テラス窓は以前に他の業者にも見てもらったが取替えできないと言われたと仰られ、これが出来ないのなら真空ガラスに取替える値打ちがないとの事で、他の窓の取替えの前提条件として大型テラス窓の取替が必須であると仰られた。
確かにあまり見た事のないサッシだなぁどこのメーカーだろうと調べていたら、なんと日本板硝子の製品でタフライトワイドテラスではないか。
換気框にトステム製品を転用していたのでトステムだろうか?でも戸当り框が枠に全部隠れるようなサッシはトステムにあったかなぁ?と、思いながらふとクレセントに目をやるとこれまた特長ある形状で、よく見るとNIPPON SHEET GLLASとあるではないか。
なぜ他の業者は取替不可と言ったのだろうか?とりあえず電話で仕入れ先を通じて日本板硝子に問い合わせてもらうが、解答は取替えできないとかスゲない答えだった。
これが出来ないのなら延べ22㎡がフイになるし、現調採寸で奈良市までの遠征がムダになる。そしてなによりもお客様の望みを叶えられない事になるので、もう一度よーく調べて方法を検討すると一番の問題はガラスにメタルタッチしている大型引手だったので、これを取り外しての使用なら障害はなくなるので取替可能だ。
早速、お客様に「メーカーも不可とは言っておりますが、なぜ不可なのか明確な理由がありません。でも調べる限り引手を残しての取替が不可で引手を取り払えば取替可能になります。従いまして引手がなくなりますので外障子の開閉が少し不自由になりますが内障子は縦框を持って頂ければ開閉できますし、外障子も少し手間を掛けて頂ければ開閉できます。」との説明を申し上げるとご理解下さった。
施工は2回に分ける事にした。
現調での採寸は一人である。しかし問題の大型テラス窓のガラス納まりを詳細に検討しようと思えば一度取り外して分解確認をしないといけない。
ところが二人掛かりでないと障子が重く大きすぎて外せないからだ。
本来は一日ですべての施工を終えたいし、お客様もそうであろうと思うが、なにせ他の業者も出来ないと諦めた窓やメーカーも否定した事など事情が事情だけに、その場で判断した事を「大型テラス窓2枚を残し施工のしやすい窓を先行してスペーシア取替えの時に二人で分解して、より安全な納まり確認致します。」と申し上げた。
先行の施工はグレチャン付きだし二人なので昼過ぎに終り、かの大きなテラス障子を外して分解してみると、ガラスの呑み込みも充分確保できる様だ。
溝巾も見た目より広く10㎜だったのでシーリング施工でガラスは支持できるので、安心して採寸した。
さて引手を外してみるとバネで常にガラス側に接触する構造になっていた。これがスペーシアにとって一番の敵なので施工時に撤去となる。
後日、その大きなスペーシアを取り替える。グレチャン付きならそれほど気を遣わないが、ガラスエッジがビニールテープで保護されているだけなので非常に気を遣う。そう真空ガラスはガラスエッジが心臓というか急所なのでここを傷めると全てがパー、オジャンになる。
しかも透明のビニールテープをめくってみると流通時の取扱が悪いのかエッジにクラックが入っている事もあるのを知らずに取り替えると大変な事になるので、どうしてもよく確認しながらの作業は慎重となる。ガラスエッジに異常がない事を確認して障子にスペーシアを組み込み、建て込んでシーリング施工をするとこれで完成。
やれやれとようやく終わったが、思い返すとこの施工例は他の業者が出来ないと云って諦めたので、当店に廻ってきたが同じ様にメーカーにも否定された時点で尻尾を巻いていれば、ここに記述することもなかったであろうし、何よりも良い経験をさせて頂いたと、心よりお客様に感謝申し上げる次第。