お客様からメールが届き、玄関の建付が悪く下で隙間があって鍵が掛からないとのことで、拝見にお伺いすると、ビックリしました。
写真のようにひどい状態で、私がこれまで観た玄関引戸で建物の柱がこれ程ななめになっているのを見るのは初めてです。
いろいろお話しを伺っていると、一番最初は鍵屋さんに鍵を取り替えて貰ったけれどすぐに掛からなくなったので、次はサッシ屋さんに来て貰ったのだけれど、下の隙間は少し改善されただけで鍵は掛かるようになりました。
それから4ヶ月くらいでまた鍵が掛からなくなったので、その後2年近く鍵は使用せず突っ張り棒で戸締まりをされていたとのことです。
1800㎜の高さの間で25㎜以上の誤差がある玄関引戸は初めてです。普通は丸ごと取替えをお奨めするのですが、これまでの経緯をお聞きした限り、まだ建物が傾斜する可能性が残っているため玄関を新しくしても建物自体の狂いが進行形なのか止っているのか不明で不安が残ります。
この事から玄関の取替えは推奨せずに私からの提案はこの状態でタテの隙間をピッタリなくし障子が軽く開閉できて、最後に鍵が軽く開け閉めできる状態にして2~3年程度狂いが来ないか確認して頂きたいと申し上げました。
またその後、狂いが発生していなければ安心して玄関廻りをリフォームしていただけますと申し上げたのです。
下げ振りで計測すると、無目位置計測が31で床より350㎜上で計測が54を示しており、350下がって土間天付近では上下の差が25㎜を超えているでしょう。
お客様にはいろいろと説明申し上げ、このまま玄関を使用して施錠できるようにするには障子を加工しなければならないことや、仕上がりの見た感じは障子の上框とサッシ枠の見付寸法が変わる事に加え、レールと下框の隙間も風が吹き抜けて光が漏れるほど片方で戸車を持ち上げます。
さらには上枠に上車が当たるので低く加工することや戸当りの上部隅にある樹脂部品も撤去しなければならないこと等、細かく説明いたしまして仕上がりイメージに了解を頂きました。
上の写真が仕上がりです。
写真には写ってないですが、最後に下框とレールが平行に見えるようにアルミのフラット板を取付けました。
そうしないとやはり光の漏れや風の吹き込みが気になったものですから。
ただし風の吹き込みはこうしてもかなりあるものとお客様には説明申し上げました。
外観で気になるのは上框の無目枠との平行が悪いことや下框のフラットバー取付部分でしょうか。でも気にすれば目が行きますが、一般には気がつかない方が多いのではないでしょうか。
外枠と障子の建付はパーフェクトで錠の開閉もバッチリ軽くなりましたし、障子の開閉もステンレス製のダブルコマで重量用を使用しましたので非常に軽く、むしろ戸先の指詰めをご注意頂きたいほどです。
あとは狂いの進行が止っていることを祈るだけで、お客様にはもちろん大満足して頂きました。